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ウズラ類のエサが高タンパク質含量である理由

 一般に市販されているウズラ類のエサは、相タンパク質含量が24%と非常に高くなっています。これは、何か根拠があるのでしょうか?ニワトリも卵を産む家禽ですが、ニワトリのエサの粗タンパク質含量は約15%です。ウズラのエサの60%程度です。確かにウズラの卵の平均体重比は、ニワトリのおよそ2倍です。しかし、これほどエサのタンパク質含量の差は必要なのでしょうか?

市販されているウズラ用のエサ3種、卵生産が目的となっています。
市販されているウズラ用のエサ3種、卵生産が目的となっています。

高タンパク質含量の根拠は1979年に発表された論文です。

 

 1979年、日本配合飼料株式会社の山根さん達は、24.5%の粗タンパク質を含む飼料を与えたところ、1日に20gの飼料を摂取し、9,3g以上の卵を産んだと報告しました(引用文献1)。ウズラ用エサの高タンパク質含量は、この報告が根拠となっているのでしょう。1979年というと、45年以上も前に発表された論文です。その後、同じような研究が行われ、論文発表が行われています。

 

高タンパク質含量でないエサが良いという論文も発表されています。

 

 ウズラのエサのタンパク質含量について、他の研究者も論文発表しています。例えば、新潟大学の安中さん達は、タンパク質含量を変えたエサを与えて、産卵や卵の重量、タンパク質含量を調べました。その結果、粗タンパク質含量が18.7%のエサが良いという結果でした。また、高タンパク質含量のエサを与えた場合、突然死する確率が高くなったとも報告しています(引用文献2)。この新潟大学の研究者の論文発表は、1993年に行われています。しかし、現在でもウズラ用のエサは高タンパク質含量となっています。その理由は、論文を発表した研究者にあります。

 

日本配合飼料株式会社は、現在のフィード・ワン社です。

 

 高タンパク質含量のエサが良いとする研究結果は、かなり古い情報です。それから45年の月日が流れて、なおかつ高タンパク質含量のエサは必要が無いという研究結果が発表されても、変わりません。その理由の1つに、高タンパク質含量のエサが良いという結論は、日本配合飼料株式会社の研究者から発表されたという点にあると思います。日本配合飼料株式会社は、現在ありません。協同飼料会社と共に、2015年にフィード・ワン株式会社に吸収合併されました。現在、フィード・ワン株式会社は、多くの家畜・家禽用の飼料を販売している大手会社です。その結果、現在でも高タンパク質含量のエサが販売されているのでしょう。

 

産卵を意識しなければ、高タンパク質含量のエサは不要でしょう。

 

 ウズラの卵の高生産を考慮しなければならないウズラ農家なら、高タンパク質含量のエサが必要か否かを考慮するでしょう。しかし、単にペットとしてウズラ類を飼育する場合、24%を超える高タンパク質含量のエサは不要です。むしろ、突然死が増加するなどリスクもあります。さらに、タンパク質には窒素分が多く含まれているので、体内アンモニア発生量が増加し、フンなどが臭くなるデメリットも存在します。新潟大学の研究論文を参考にする限り、粗タンパク質含量約17%のエサで、ウズラは十分に健康的に育つでしょう。ただ、粗タンパク質含量が約12%まで低下すると、成長が遅くなるなど、デメリットが存在するようです。やはりインコやハト・野鳥のエサは、ウズラ類には使用できないでしょう。

 

引用論文

 

(1)Yamane, T., Ono, K., & Tanaka, T. (1979). Protein requirement of laying Japanese quail. British poultry science, 20(4), 379-383.

(2)Annaka, A., Tomizawa, K., Momose, Y., Watanabe, E., & Ishabashi, T. (1993). Effects of dietary protein levels on performance of Japanese quail. Animal Science and Technology, 64, 797-797.

 

 
 
 

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