ウズラ類をペットとして飼育する場合、高タンパク質のエサは必要でしょうか?
- Hideki Kobayashi
- 6月23日
- 読了時間: 4分
ウズラ類のエサは、高タンパク質となっています。例えば、よく使用されるバーディーうずらフードは、粗タンパク質含量が24%以上となっています。また、エクセルうずらも同様に粗タンパク質含量が24%以上です。このウズラのエサの高タンパク質含量は、家禽として卵を良く産ませるために有効とされています。果たして、卵の生産を目的としない愛玩鳥としてのウズラ類に、高タンパク質含量のエサは必要でしょうか?

高タンパク質のエサは、家禽用日本ウズラの卵生産に使用されています。
日本ウズラは日本だけでなく、世界中で卵生産用家禽として利用されています。そのため、ウズラ類のエサの研究も卵生産の効率化を目的として行われています。より多くの卵をより早く産ませるために、エサの成分を研究した結果、高タンパク質のエサが良いという結論になりました。そのタンパク質含量が、22%以上となっています。市販のエサの粗タンパク質含量が24%であることも、この結論に基づいています。アメリカでは、28-30%とより高いタンパク質含量も提唱されています。また、コリンなどの補助栄養素を加えることも提唱されています。しかし、あくまでも、卵生産を目的としていて、ウズラ類の寿命などは考慮されていません。
ニワトリのエサのタンパク質含量は、15%前後です。
産卵用家禽として、一般的な鳥はウズラ類よりニワトリでしょう。日本産のニワトリでは、体重2kg前後で、1個約60gの卵を1年間で約300個の卵を産みます。外国産のボリスブラウン等の場合、体重約1.5kgで1個60g以上の卵を年間約350個産みます。一方、家禽ウズラの体重は孵化後60日前後で140gです。1個約10gの卵を年間約300個産みます。体重で比較すると、ニワトリの卵は体重の約3-4%ですが、ウズラの卵は体重の7%と比率が約2倍となります。卵はタンパク質の塊なので、産卵頻度を上げる研究の結果、高タンパク質のエサが良いという結論になったのでしょう。しかし、ペットとしてウズラ類を飼育するためのエサではありません。
産卵が多いウズラ類のメスは、短命です。
産卵という非常に体に負荷がかかるイベントを強制的に行わされることで、家禽ウズラのメスの寿命は1年半-2年未満とされています。一方、野生の日本ウズラの寿命は5年前後となっています。この差は高タンパク質のエサを強制的に摂餌させられ、卵を強制的に産まされているからだと考えられています。なお、ヒメウズラの寿命はオスが5年、メスが産卵の頻度により3年前後です。原因は不明ですが、早期に卵を産まなくなったメスのヒメウズラが居ました。このメスは非常に長生きでした。ペットとして飼育する以上、産卵数など関係なく、長生きして欲しいですよね。
ペットとしてのウズラ類飼育用のエサはありません。
タンパク質含量が多いエサは、オスのウズラ類や卵を産まなくなった高齢のメスには不要です。むしろ窒素分が多く、アンモニア排出が多くなるため、糞が臭くなるなど弊害も多いかもしれません。しかし、鳥のエサなら何でも良いというわけではないでしょう。あまりに低タンパク質含量のエサは、ウズラ類の食性に合っていません。鳩や野鳥のエサは、大体タンパク質含量が8%以下です。インコ類のエサでもタンパク質含量は12%前後です。これらのエサやカナリアシードを実際に与えてみたことがあるのですが、ウズラ類は食べてくれませんでした。ウズラのエサとインコのエサを混ぜるという方法は、あまり良くないかもしれません。
ウズラ類に近い鳥として、ニワトリが挙げられます。ニワトリのエサは、タンパク質含量が15%程度で成分的には良さそうです。残念ながら、トウモロコシなど粒が大きいことが多いので、くちばしの小さいヒメウズラやウズラ類には向かないかもしれません。なかなか難しいですね。
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