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執筆者の写真Hideki Kobayashi

スーパーなどで販売されている食用ウズラの卵も低い確率で孵化します。

 一般のスーパーなどで食用の「ウズラの卵」が販売されています。この「ウズラの卵」を孵卵器で孵化を試みると、低い確率ですが、孵化します。通常、家禽ウズラは飼育場にオスとメス両方を入れて飼育されています。オスはメスの産卵頻度を高めるために一緒に飼育されています。オスとメスの比率は、うずら農家の方針で決められているため、交尾の頻度もまちまちです。そのため、販売されているウズラの卵は、全てが有精卵とは限りません。

 


食用のウズラの卵は安く購入できます。
食用のウズラの卵は安く購入できます。

ウズラの卵がスーパーの商品棚に並ぶまで、多くの処理が行われます。

 

 ウズラの卵は、食用として出荷されています。生まれた卵はオゾン殺菌され、その後洗浄、さらに次亜塩素酸という薬品で消毒されます。次亜塩素酸による消毒過程ですが、36-55℃の温水が使われます。ウズラ農家の方針で55℃の温水が利用された場合、卵は孵化できなくなります。消毒された卵は乾燥後、さらに紫外線殺菌が行われます。紫外線は卵内部まで届かないので、影響はありません。その後検卵が行われ、合格した卵がパッケージされて出荷されています。

 

多くの段階を経ているため、1パックから孵化する卵は2個以下です。

 

 うずらの卵1パックには、10個の卵が入っています。この10個の卵を孵卵器で孵化を行った方の話をまとめると、最大2個の卵が孵ったそうです。ただ、実際に卵が孵ることは非常に珍しく、ほとんどの場合1個も孵らないそうです。前述の通り、多くの殺菌・洗浄過程を経ているため、例え有精卵が混ざっていたとしても、停止卵となっていることが多いでしょう。

 

もしウズラが孵化したら、しっかりと飼ってあげて下さい。

 

 市販されているウズラの卵を孵卵器に入れて、孵そうとする場合、孵った後のことも考えて下さい。「卵が孵るか、調べてみたい。」だけで、ウズラの卵の孵化を試さないで下さい。孵化した場合、生まれたヒナは飼育しましょう。孵化を行う際は、飼育ケージやヒヨコ電球の準備など、生まれた後の準備も考えておきましょう。ウズラの飼養届を役所の担当部署に提出することを忘れないようにして下さい。なお、飼育できないからと、屋外に放鳥はしないで下さい。自然界にはウズラのヒナを捕食する多くの動物達がいるので、生き残れる可能性は低いです。

 

将来、食用卵の孵化が出来なくなるかもしれません。

 

 日本では行われていませんが、アメリカでは鶏卵の放射線殺菌が認可され、実際に行われています。もし日本でも認可されると、食用に販売されているウズラやニワトリの卵は孵化できなくなります。日本では食品に対する放射線の使用はほとんど行われていません。唯一の例は、ジャガイモの発芽を妨げる目的で放射線が利用されています。ただ、世界の流れとして、有害な殺菌剤を利用せずに殺菌できるため、放射線殺菌の利用を拡大しようとなっています。今後、食品の殺菌に放射線殺菌の認可が広がると、卵にも放射線殺菌が利用されるかもしれません。

 

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