ヒメウズラ夫婦の絆は、人間を超えます
- Hideki Kobayashi

- 6月29日
- 読了時間: 4分
ヒメウズラの大きさは小さいため、一見多数飼育ができると思われがちです。小さな鳥が多数群れている様子は、とても癒される光景です。残念ながら、ヒメウズラは多数飼育には向いていません。その原因の1つに、ヒメウズラは一夫一妻制の傾向が強いことが挙げられます。一方、日本ウズラは一夫一妻制が弱い傾向にあり、複数飼育が可能です。ウズラの卵を採るウズラ農家にとって、ブロイラー方式で複数飼育ができる点は経済的にも助かると思います。また、日本ウズラをペットとして飼育する方も、少し大きめですが、複数飼育を楽しめるでしょう。

そもそも一夫一妻制になるのは、なぜなのか?という研究が行われています。
鳥類は、最も社会的に一夫一妻制の脊椎動物です。種の90%以上が、何らかの形でこの交配システムを持っています。研究者たちは、“一夫一妻制”という生態と進化について、鳥類を対象として研究を行ってきました。しかし最近まで、鳥類がツガイになる過程で、ホルモンや神経メカニズムについてはほとんど知られていませんでした。
鳥類の一夫一妻制について、キンカチョウという小鳥が研究されてきました。キンカチョウのツガイは、互いに羽繕いをしたり、止まり木で寄り添ったりするなど、特徴的な接触行動が見られます。また、永続的なツガイを形成するため、良い研究対象とされています。ただ、近縁種は皆同様のツガイ行動を取るので、比較研究が難しい点がありました。一方、ヒメウズラと日本ウズラは比較的近縁種です。また、それぞれ一夫一妻制ですが、その強さは異なります。そこで、ヒメウズラと日本ウズラについて、ツガイを形成する過程を比較する研究が行われました。
ヒメウズラのツガイは羽繕いなどの行動が多く、交尾は少な目という結果でした。
実験では、ヒメウズラの雌雄を同居させています。当初は互いに回避的あるいは攻撃的な態度を示しました。やがて、ヒメウズラの雌雄の多くが、速やかに互いの羽繕い(アロプリーニング)や寄り添い(ハドリング)を行うようになりました。また、同居ツガイのオスによる羽繕いや寄り添い行動には、ツガイ相手のメスに高い選択性が認められました。多くのオスは、ツガイ相手ではない馴染みのあるメスに対しても、攻撃的な反応を示したとのことでした。さらに、一度ツガイとなったオスとメスを9-10週間離しても、それぞれ記憶していて、再び親密になるそうです。なお、実験中にオスメスが交尾行動を取ることは稀だったそうです。

ヒメウズラと日本ウズラを比較した結果、メスの行動に大きな差がありました。
ツガイ形成やオスメス分離実験の結果、ヒメウズラとニホンウズラの行動の非常に対照的だったそうです。ヒメウズラでは、オスとメスを同じケージに入れた18時間以上のビデオ録画で、交尾の試みは2回しか見られませんでした。代わりに、最初の攻撃性行動や回避行動が収まると、オスとメスは親密になり、しばしば相互の羽繕いと寄り添う行動が見られました。一方、日本ウズラは、オスとメスを同じケージに入れると、活発で積極的な交尾行動を取ることは、既に知られています。日本ウズラに関する最近の研究では、ツガイ実験や分離・再会実験を行っても、羽繕いと寄り添う行動は報告されていません。オスメスの選択テストでは、オスが接近してくるとメスは交尾行動を予測します。メスは好ましくないオスによる交尾の試みを避けるために、メス同士集まって拒否するそうです。ヒメウズラのオスメスは交尾行動よりツガイとしての絆を深める行動をより重視するようです。
人間は一夫一妻制、本能ではなく法律で決まっています。
ヒメウズラの一夫一妻制は本能で成立しています。また、ツガイとなったオスメスが長い期間離れ離れになっても、お互いに記憶していて、再び親密になります。一方で、人間が一夫一妻制を取っているのは、法律で決められているからです。本能で一夫一妻制とはなっていません。日本でも江戸時代では、身分の高い人たちは一夫多妻制となっていました。現在でもアフリカの一部の国やイスラム教の国では、一夫多妻制が法律でも認められています。人間の動物的本質としては、一夫多妻制なのかもしれません。ヒメウズラの夫婦は、人間以上に強い絆で結ばれているのでしょう。今回、参考にさせて頂いた論文は、以下の論文です。
Adkins-Regan, Elizabeth. "Pairing behavior of the monogamous king quail, Coturnix chinensis." Plos one 11.6 (2016): e0155877.



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