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野生のウズラは絶滅危惧種です。

6 日前
読了時間: 3分

 かつて、日本では多くの野生ウズラが生息していた。最古の歌集である万葉集でも、「うずら」という言葉が良く出てきます。万葉集の中の「鶉(うずら)」は、荒れ果てた場所や古びた様子を連想させる鳥として、枕詞や比喩、または秋の情景として詠まれています。万葉集だけでなく、古今和歌集や新古今和歌集でも「うずら」を詠んだ歌は掲載されています。平安時代だけではなく、鎌倉時代でも「うずら」は詠まれています。武士が詠んだ和歌が集められている「夫木和歌抄(ふぼくわかしょう)」でも、「うずら」は登場します。藤原俊成の歌(「夕されば野辺の秋風身にしみて鶉鳴くなり深草の里」)などが収められています。

近代でも、かの夏目漱石が

 

「後に鳴き 又先に鳴き 鶉(うずら)かな」

 

 と詠んでいます。意味は「(草むらのあちらで)一羽のウズラが鳴いたかと思えば、今度は(こちらの)先の方でもまた別のウズラが鳴き交わしている。あちこちでウズラが鳴き合っていることだよ」とのことです。それだけ、数多くのうずらが日本には居たことがわかります。夏目漱石は、明治時代末期から大正時代初期に活躍した作家です。約120年前の話ですが、当時、多くの野生のうずらが、身近に生息していたことが伺えます。古代から近代まで、「うずら」は多数生息し、人々の生活に密接に関わっていたことでしょう。

 

野生のウズラは数が減っています。
野生のウズラは数が減っています。

2012年、野生のうずらは絶滅危惧III種(VU)に指定されました。

 

 近年になって野生のウズラは、その数を減少させました。1975年から野生のウズラの狩猟制限が開始されました。そして2013年に狩猟鳥獣から除外され、日本ではウズラの狩猟が違法となりました。野生のウズラの数が減少した原因は、数多く考えられています。例えば、京都府では小規模な田んぼや畑を大きくて使いやすい形に整える「圃場整備」が野生ウズラの減少に関与している可能性があると報告しています。また、河川敷を開発し、運動場やゴルフ場などを造ることが、野生ウズラの主な生息地を無くしているとも考えられています。おそらく、高度経済成長期に行った乱開発が、野生ウズラの数を減少させたのでしょう。昨今の地球温暖化の影響による気象現象の激化により、河川周辺は多くの洪水被害を受けています。河川敷にリクリエーション・ゾーンを設置することは、保水能力や緩衝効果、遊水能力を減少させます。多くの被害を出す前に、河川敷は元の草が生い茂った状態に戻すべきでしょう。

 

野生ウズラの目撃例増加は、数の増加ではないでしょう。

 

 最近、野生ウズラの目撃情報をネットに流したり、SNSで流したりする人がいます。これは野生ウズラの数が増えたのではなく、絶滅危惧種として関心が集まった結果でしょう。以前なら、ウズラなんて見向きもされなかった鳥です。ちょうど、「トキ」のようにいつでもどこでも居た鳥が、その数を減少させた時に初めて関心を集めた状態と同じでしょう。

秋から冬にかけて、野生ウズラは東北地方から暖かい関東・関西地方へと渡ります。その渡りの期間に、河川敷などで見かけることがあるかもしれません。野生ウズラを見かけても、過度に近づいて警戒させたり、詳しい生息場所をネット上に拡散しすぎたりしないよう、注意しましょう。ウズラ好きな方なら、なおさら静かに見守ってあげましょう。ウズラ好きの方は、野生ウズラを探すより、かつて居た野生ウズラを描いたティーカップなどはいかがでしょうか。

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