秋に桜が咲くのは、狂い咲きではなく先祖返り?
- Hideki Kobayashi

- 6 日前
- 読了時間: 3分
当社で育てている桜が咲いていました。11月に入って間もなくのことでした。現在育てている桜は、サクランボが結実する品種なので、春に花が咲きます。季節外れの桜の開花は、「狂い咲き」と呼ばれています。狂い咲きは、桜だけでなく、桃やツツジなどにも見られる現象のようです。狂い咲きは、様々な原因で起きるようです。主な原因は「台風や害虫などの影響で、葉が早期に落葉し、その後の異常な暖かさになるという2つの条件が重なること」です。実際、10月の気温は高く、平均気温は平年を1.35℃上回る暑い秋でした。そのため、桜が狂い咲きしたのでしょう。地球温暖化は、桜の生態にも大きな影響を与えています。

秋に咲く桜もあるそうです。
秋に花を付ける秋咲きの桜もあるそうです。フユザクラ、ジュウガツザクラなど品種は、春と秋の2回花が咲きます。正確には、秋から春にかけても少しずつ開花するようです。実は季節外れのサクラとして、町おこしなどに利用している自治体もあります。埼玉県児玉郡の城峰公園、愛知県名古屋市の庄内緑地公園、群馬県藤岡市の桜山公園などがフユザクラの名所として有名です。特に桜山公園のフユザクラは「三波川の冬桜」として名高く、国の天然記念物に指定されています。
桜は元々秋に咲いていた!という仮説があります。
秋に咲く桜があることで、秋に花が咲くメカニズムを桜が持っていることになります。春に桜の花が咲くメカニズムは非常によく研究されています。では、なぜ桜は元々秋咲きだったという仮説が出てくるのでしょうか?それは桜の由来に根拠があります。
秋に咲く桜は、ネパール地方にも分布しています。「ヒマラヤザクラ」という桜です。東京農業大学の研究室が、日本のサクラとネパールのサクラの遺伝的な特性を知るため、染色体を調べてみました。その結果、双方とも16個の染色体数をもつ野生種であることが解りました。またネパールと日本の桜の交配実験でも、授粉した花数に対する結実率は30~50%と良好な成績でした。以上より、日本のサクラとネパールのサクラは遺伝的に非常に近い関係にあることが判明したそうです。仮説なので、さらなる研究が必要でしょう。ヒマラヤと日本はかなり距離があります。サクランボが飛んでくるとは考えにくいです。ただ、ヒマラヤからは、稀にアネハヅルという渡り鳥が迷って日本で越冬することがあるそうです。秋にヒマラヤで咲いた桜のサクランボを食べたアネハヅルが、日本まで種を持ってきた、なんていう話もロマンがあって良いですね。





コメント