ペットウズラ用のエサを準備しております。
- Hideki Kobayashi
- 11 分前
- 読了時間: 5分
市販されているウズラのエサは、タンパク質含量が非常に高くなっています。これは、養鶉業者が卵を生産するために使用するエサとほぼ同じです。養鶉業者が飼育しているウズラのメスは、卵を毎日産み続けるため、高いタンパク質含量のエサが必要です。卵生産用のエサですが、果たしてペットとしてウズラ類を飼育されている方に必要でしょうか?という疑問からペット用のウズラのエサを考案しました。ちなみに、卵生産用に飼育されているウズラのメスの寿命は1-2年未満です。ペットとして飼育している場合、ペアとなったメスが早死にしてしまうのは、悲しいことだと思います。残されたオスも「コー、コー」と悲しい鳴き声で、居なくなったメスを呼びます。この声を聴いていると、本当に可哀想に思ってしまいます。エサのタンパク質含量を減らして、メスの産卵負荷を軽減し、長生きしてもらうことが、ペット用ウズラ餌の目的です。それに、卵を産まないオスや産卵を止めたメスに高いタンパク質含量のエサは不要です。むしろ、タンパク質に含まれる窒素由来のアンモニアにより、フンが臭くなる弊害もあります。また、高タンパク質含量のエサを与えていると、ウズラ類の突然死率が増加することも報告されています(引用文献1)。

低タンパク質含量のエサでもウズラ類の健康は損なわれません。
低タンパク質含量のエサをウズラ類に与える科学的研究は、数多く行われ、多くの論文が発表されています。その中の一つの研究では、飼料中のタンパク質含量を下げてウズラ類を飼育し、肉の化学分析 (乾物、タンパク質、脂肪含有量)、物理化学分析 (pH、色、水結合能)、官能分析 (調理済み肉とブイヨン)を行いました。実施した検査の結果、飼料中のタンパク質含有量が低下しても、ウズラの体重、屠畜歩留まり、胸部および脚部の体重への寄与に影響を与えませんでした。むしろ、枝肉の肥満度は低下し、肉の保水性は向上しました。その他の肉質特性の大部分は、従来の高タンパク質含量の飼料で育てた対照群の値と同様でした(引用文献2)。
また他の研究では、18-24%まで粗タンパク質含量を変えた飼料を用意して、並ウズラに与えました。その結果、租タンパク質含量18%のエサを与えられた個体群は、高タンパク質含量の飼料を与えられた個体群より産卵が4日間遅れました。研究者たちは、タンパク質含量が低かったため、生殖能力の発達が遅れたのだろうという結論でした(引用文献3)。もちろん、卵生産を目的とした場合、重要な項目かもしれません。しかし、ペットとしてウズラ類を飼育する場合、特に意味のない4日間だと思います。むしろ、産卵が遅くなることで、メスの負担が軽くなり、より長生きしてくれることが期待できます。
タンパク質の含量とその由来(植物性か動物性か)は、エサを好むかどうかに影響は与えません。
低タンパク質含量のエサに変えた場合、エサを好むかどうか、心配される方もいるかもしれません。実は、タンパク質の含量とそのタンパク質が植物性か動物性かについて、既に研究が行われて、論文発表されています。その研究の中では、動物性タンパク質だけのエサ、植物性タンパク質だけのエサ、両方を混ぜたエサが使われていました。また、タンパク質含量も20%と25%のエサが用意されました。その結果、タンパク質の由来と含量はウズラ類のエサへの嗜好性に何も影響を与えないという結論でした。また、タンパク質含量については、「ウズラの飼料中に最適なタンパク質含有量は20%であると結論付けられます。このレベルを超えるタンパク質含有量は、経済的にも生物学的にも正当化できません。」と強い否定文で否定されていました(引用文献4)。
ペット用のウズラ類に、高タンパク質含量のエサは不要です。
ウズラ農家のように採卵することを目的として、ウズラ類を飼育される場合、高タンパク質含量のエサを与えても良いと思います。実際、市販されているウズラ用のエサは、高タンパク質含量のエサです。しかし、ペットとして飼育する場合、高タンパク質含量のエサは、全く必要ではありません。むしろ、突然死する個体が増えたり、フンの匂いが強くなったりと、弊害も多くなります。さらに、高タンパク質含量のエサはメスに大きな卵を頻繁に産むことに最適化されているので、メスの消耗が大きく、早死にする傾向にあります。愛玩鳥としてウズラ類を飼育する方たちにとって、悪い影響以外無いように思います。
まだテスト段階ですが、低タンパク質含量のエサをヒメウズラ・コリンウズラに与えています。ヒメウズラ・コリンウズラともに良く食べ、元気に育っています。ヒメウズラのヒナにも与えております。皆、良好に成長しています。また、フンの匂いも軽減されているように思います。今後、有精卵をご注文されたお客様方に、試供品として送ることもございます。是非、一度試してみてください。テストが終わり次第、販売させていただきます。今しばらくお待ちください。
引用文献
(1)Annaka, Akio, et al. "Effects of dietary protein levels on performance of Japanese quail." Animal Science and Technology 64 (1993): 797-797.
(2)Tarasewicz, Zofia, et al. "The effect of feeding with low-protein feed mixes on the growth and slaughter value of young male Pharaoh quails." Archives Animal Breeding 50.5 (2007): 520-530.
(3)Soares, R. da TRN, et al. "Protein requirement of Japanese quail (Coturnix coturnix japonica) during rearing and laying periods." Brazilian journal of poultry science 5.2 (2003): 153-156.
(4)Dahouda, M., et al. "Growth performance of quails (Coturnix coturnix) fed on diets containing either animal or vegetable protein sources." Int. J. Poult. Sci 12.7 (2013): 396-400.
Comments