ウズラの人工孵化について
家禽用の並ウズラは、人工孵化について良く研究されています。経済的な面から、より多くの並ウズラを孵化させることが目的です。今回は、家禽用ウズラの孵化について研究論文をご紹介したいと思います。ヒメウズラの孵化率向上にも役に立つかもしれません。

2種類の人工孵卵器
一般に販売されている孵卵器は、卵を横に置いて敷居板やローラーなどで転卵を行う簡易的な形式です。大きめの機種なら、鶏卵なら最大10個、ウズラの卵なら20-30個まで、小型の機種なら鶏卵4個、ウズラの卵8個程度を孵化できます。一般にウズラ農家は、10万羽以上飼育しています。20-30個程度の孵化では、補充することはできません。特に家禽ウズラのメスの寿命は1年半から2年までとなっています。また、日本ではウズラは主に産卵用に飼育されています。卵を孵化しても半数はオスが生まれるため、卵を孵化する数も2倍必要となります。例えば、1%(約1000羽)のウズラを補充するためには、1回の人工孵化で2000-3000個の卵を孵化しなければなりません。10個入りのウズラの卵ケース、200-300個分となります。横置きの孵卵器では、非常に大型の孵卵器が必要となります。そこで、卵を縦置きで設置する孵卵器が利用されています。縦置きの孵卵器は、一般には販売されていません。農家専用の設備とも言えるでしょう。縦置き孵卵器のメリットは多くの卵を孵化できるという点と温度と湿度の管理が容易という点です。
ウズラの孵化は温度と湿度が重要です。
ウズラの卵の孵化条件はニワトリの卵の場合と似ていますが、ウズラの卵はニワトリの卵よりもはるかに小さいため、孵化中の温度や湿度の変動に対して非常に敏感です。ウズラの卵より小さいヒメウズラの卵は、さらに温度と湿度に敏感と言えるでしょう。縦型孵卵器では、温度を37.5℃から38℃の間に保つ必要があります。一方、周囲への熱損失が縦型孵卵器よりも大きい簡易的な横型孵卵器では、温度を39℃に設定します。このように温度を高く設定するのは、横型孵卵器に特有の大きな温度変動を補うためです。いずれのタイプの孵卵器でも、湿度は40~50%に保つ必要があります。孵化期間は16~18日間です。通常の孵化条件下では、卵の死亡率が孵化開始後最初の3日間と最後の2日間にピークを迎えます。これは、ウズラ以外の鳥類でも同様の報告があるので、ヒメウズラの孵化にも適用されると思います。論文のデータでは、最初の3日間で約12%の致死率となっています。そして、最後の2日間では致死率が8%前後となっています。特に最初の3日間で卵が死んでしまうと、全く孵化が進んでいない状態となります。無精卵と区別がつかないでしょう。
最後の2日間、卵をお互いに近づけて孵化を迎えましょう。
孵卵14日目には、孵化用装置(ハッチャー)へ移すか、孵卵器内の孵化用トレイに並べて、孵化に向けた準備を行います。卵は横向きに置き、その状態では転卵を停止します。温度は40℃に、湿度は70~80%に上げます。孵化は孵卵16日目から18日目の間に行われ、多くの雛は17日目に孵化します。ヒメウズラの場合、40℃は非常に高い温度です。最後の2日間は、逆に温度を下げて37℃にすると良いという報告もあります。卵から出てくる際、高い温度では体力の消費が大きすぎるからとされています。
同時に孵化を行った卵では、孵化時期はある程度同調します。この孵化の同調は、部分的には、各吸気(息を吸う動作)に伴う「クリッキング(clicking)」と呼ばれる発声を介した胚同士のコミュニケーションによるものと報告されています。発生の進んだ胚によるクリッキングは発生の遅れた胚の孵化を促進し、その逆もまた同様です。したがって、孵化用トレイ内で卵を互いに近づけて配置する方が好ましいとされています。
今回ご紹介した内容は以下の論文から頂きました。残念ながら、ヒメウズラの孵化にどれだけ適用できるのか、わかりません。ただ、40℃という温度は高いように思います。これから外気の湿度も高くなるので、気を付けましょう。
Cheng, Kimberly M., Darin C. Bennett, and Andrew D. Mills. "The Japanese quail." The UFAW handbook on the care and management of laboratory and other research animals 8 (2010).



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