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大型クロマグロ漁獲枠拡大の陰に潜む小型クロマグロ漁獲枠削減の影響

9月3日
読了時間: 4分

 最近、太平洋クロマグロの資源管理に関する国際会議で、太平洋クロマグロ(本マグロ)の漁獲制限が拡大されるというニュースが報道されました。具体的には太平洋中西部で30キログラム以上の大型魚の漁獲枠は、2027年に2026年比で25%増やすことになりました。同時に30キログラム未満のクロマグロは、漁獲枠を6%%減らすことも合意しました。30キログラム未満の漁獲枠削減は、資源管理のために行われるそうです。その結果、太平洋中西部の全漁獲枠は大型魚が年1万1869トンから1万4836トンに増加します。また、小型魚の全漁獲枠が5125トンから4823トンに減少します。太平洋東部は大型・小型を区別せずに、合計で7581トンを7740トンに漁獲枠が広がります。この合意は、28年まで2年間適用されるそうです。これは全漁獲枠なので、日本に割り当てられる漁獲枠とは、別の話です。現状の日本の枠は大型魚が8421トン、小型魚が4407トンとなっています。小型魚の漁獲枠のほとんどを日本が占めています。

 

天然クロマグロは、高級店かインバウンド需要に供給され、一般家庭には届きません
天然クロマグロは、高級店かインバウンド需要に供給され、一般家庭には届きません

果たして、この合意は喜んで良いのでしょうか?

 

 報道やニュースを見ると、漁獲枠拡大を歓迎する人たちがインタビューされていました。確かに直接マグロ漁を行う方は、水揚げ量が増加して、収入も増加することでしょう。実際、令和8年は、漁獲可能枠が1万504トンとなっています。以前の8421トンの約25%増となっています。しかし、小型魚の漁獲枠が減少していることが一番の問題です。令和8年の30kg未満の小型マグロは、漁獲枠が約4015トンとなっています。以前は4407トンだったので、約10%削減されています。実は小型マグロが、日本の一般家庭が購入するマグロ価格に大きく関わっています。

 

養殖マグロの水揚げ量は約2万トンです。

 

 天然のクロマグロの漁獲枠が約1万トンですが、養殖マグロの水揚げ量はその約2倍となっています。実際、魚屋やスーパーの鮮魚販売コーナーでは、「まぐる(養殖)」というお刺身がたくさん並んでいることでしょう。店舗によっては「まぐろ(天然)」という切り身やお刺身は、ほとんど見かけないかもしれません。価格もそれほど高くないので、ほとんどの人は、天然マグロと養殖マグロが並んでいたら、養殖マグロを選ぶのではないでしょうか?そして、この養殖マグロこそが、30kg未満の小型マグロが成長した成魚なのです。

 

現在、養殖マグロのほとんどが、天然マグロの稚魚の育成で行われています。

 

 以前、クロマグロの完全養殖成功というニュースを聞いたことがあるかもしれません。卵を孵化させて、成魚まで育成することを完全養殖と言います。近畿大学が中心となったグループが卵から稚魚を孵化させて、成魚になるまで育成に成功しました。そして、その完全養殖マグロは、一時期「近大マグロ」というブランドで販売され、マグロの安定供給が期待されていました。しかし、現在の状況は違います。養殖マグロのほとんどは、天然のまぐろの稚魚(ヨコワ等の名称で呼ばれています)を育成しています。卵から育成した稚魚は年間約400トンで、マグロ養殖全体の約2%に過ぎません。それでも、完全養殖が残っていることは貴重なのかもしれません。一時期、マグロの完全養殖は途絶えた、という噂さえ流れていました。

 

小型マグロの漁獲枠減少は、マグロの販売価格に影響するでしょう。

 

 大型の天然マグロは、主に高級料理店やインバウンド需要で消費されていくことでしょう。天然マグロを捕まえる漁師や実際に提供するお店は、今回のクロマグロに関する合意を喜ぶかもしれません。一方、マグロを養殖して出荷している業者やスーパーの店長は、良い未来を想定していないでしょう。今回の合意による小型マグロの漁獲枠減少は、養殖マグロの水揚げ高の減少を招くでしょう。ただ、この影響が出てくるのは、養殖マグロが出荷される2-3年後でしょう。そのまま1割減の出荷量なら、約1割値上がりするでしょう。

 

養殖場は海水温上昇の影響を受けています。

 

 マグロに限らず、海上養殖を行う場合、どうしても表層近くが養殖場となります。その結果、高い海水温の中で魚類や牡蠣などの養殖が行われます。高い海水温がどのような影響を与えるのか、育ててみないと分からないでは、大きな損失になるかもしれません。養殖場の様子を水中ドローンで観察してみませんか?当社では水中ドローンFIFISHを格安でレンタルしています。是非お問い合わせください。

 

 
 
 

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