深海魚にも不漁の波が押し寄せています。
- Hideki Kobayashi

- 7月2日
- 読了時間: 3分
深海魚と聞くと、静岡県伊豆地方の戸田や沼津を思い浮かべる人も多いでしょう。戸田や沼津では、深海魚のメヒカリやシロムツなどが水揚げされ、食用として提供されています。また、深海に生息するタカアシガニも名物の一つになっています。以前、戸田を訪れたことがあり、食堂で深海魚やタカアシガニを頂いたことがありました。当時、シロムツとタカアシガニを食べました。タカアシガニはアンモニア臭が残っていて、今一つでした。シロムツはたっぷりと脂がのった白身魚という印象でした。今なら、カラスガレイに似ていると感じるかもしれません。カラスガレイも深海魚に分類される魚なので、似たような味になるのでしょう。

深海魚の漁獲高も減少しています。
伊豆地方の戸田では、毎年「戸田深海魚まつり」が開催されています。今年も4月19日に開催されました。もっとも午前中だけの小さなお祭りで、定員も600名となっています。当日は深海魚の展示や即売会が行われたようです。事前申し込みが必要なので、来年の戸田深海魚祭りに参加希望の方は、戸田観光協会のホームページをチェックしてみてください。
最近、多くの魚介類と同様に戸田の深海魚も漁獲高が減少しています。例えば、一番の名物であるタカアシガニは、静岡県全体でトロール漁による漁獲量は2018年度に12.6トンありましたが、近年は3.6トン前後まで減少しました。シロムツ等も漁師の高齢化などにより、トロール漁を行えなくなったり、荒天による出航不可になったりと、漁獲高が減少しています。
トロール漁とは、底引き網漁のことで、結構ハードな漁法です。以前、戸田の底引き網漁船に載せて頂き、底引き網漁を体験させて頂いたことがありました。午前2時位から出港準備を行い、海に出ました。漁場に到着すると、網を下して全速力で海上を航行しました。もちろん、船の揺れは半端な物ではありません。また全速力で航行するため、燃料の重油も沢山積んでいます。船の激しい揺れと重油の匂いもあって、船に酔ってしまいました。重油の匂いは結構きつくて、船が航行している時は風があって気にならないのですが、停船して底引き網の回収作業中に非常に匂ってきて、本当に気持ち悪くなりました。漁師の方にお話を伺ったところ、船の揺れは気にならないけど、重油の匂いには慣れないとのことでした。また、近年の重油の高騰も底引き網漁の頻度を減らす十分な理由になるかもしれません。
深海の生態系も浅海や陸地と繋がっています。
底引き網漁の頻度減少は別として、実際に深海魚やタカアシガニの生息数も減少しています。その原因の1つは、浅海の磯焼けなどによる魚介類の減少です。海岸や浅海の海藻類が減少した結果、生息する魚類や甲殻類も減少して、深海へ沈降する生き物の死骸が減少します。浅海から落ちてくる生物の死骸は深海生物の大切な食糧です。浅海からの落下物が減少した結果、深海生物もまた減少してしまったのでしょう。
深海生物にはまだまだ謎が多く、地球上最後の神秘と言われています。その深海生物の中でも最も深い海に棲息する生物は、カイコウオオソコエビです。マリアナ海溝チャレンジャー海淵の世界最深部を始め、日本海溝や伊豆小笠原海溝最深部にカイコウオオソコエビは棲息しています。海洋研究開発機構などの公的研究所では、大型の研究船や調査機器を使用して、カイコウオオソコエビは捕獲されています。公的機関を使用せず、民間会社だけで、そのカイコウオオソコエビを捕獲したことがありました。その捕獲航海について、本にしました。多くの写真を掲載し、楽しい捕獲紀行となっています。深海生物にご興味のある方は、是非お手に取り下さい。子供から大人まで楽しめるビジュアルブックとなっています。


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